SRC造の中古が前月比+76.9%で急増 — 立石再開発が動かす分布 | 東京都葛飾区 中古マンション 中古相場分析【2026年7月版】— 1657件集計
2026年11月に着工した立石駅北口の36階建てタワマン計画(710戸)が、静かに周辺相場の掲載構成を書き換えつつある。当サービスが13サイトから集めた葛飾区の中古マンション1,657件を並べ直すと、SRC造が前月比+76.9%の増加、RC造が+72.9%の増加、駅徒歩16〜20分帯が+51.1%の増加という「重量級」の変化が同時に浮かび上がった。価格中央値4,270万円という表の顔と、その裏で起きている構成の入れ替わり。今月号は、その両方を丁寧に切り分けて読み解く。
📝 本稿の読み方
- 分析対象: 13サイト(athome, センチュリー21, 大京穴吹不動産, 大和ハウス, 長谷工の仲介, HOME4U, LIFULL HOMES, 東急リバブル, ノムコム, ピタットハウス, 三井のリハウス, 住友ステップ, SUUMO)の掲載データ1,657件、期間2026-06-02〜2026-07-02
- 集計方法: 期間中に各サイトに掲載されていた物件を集計しています。価格変更などで同じ物件が再掲載された場合は、URLでまとめて1件として扱っています。
- 注意点:
- 表示価格は売出時点の価格で、実際に成約した価格ではありません
- 同じ物件が複数サイトに掲載されている場合は、それぞれを1件として数えています
- 週次レポートとは数字が一致しません: 本月次レポートは直近30日間に掲載が確認できた物件を期間全体で集計します(複数サイトに掲載された物件は各サイトで1件ずつ、同一サイト内の再掲載はURLでまとめて1件)。週次レポートは週末時点に掲載中だった物件だけを切り取る断面集計のため、重複の数え方・集計窓・時点の取り方が異なり、件数や中央値は月次と週次で一致しないのが正常です
市場サマリー
東京都葛飾区 中古マンションの新着を見逃さない
今月の注目: 新耐震RC造 駅徒歩5分以内, 立石徒歩10分圏 築古リノベ, 金町・青戸 3LDK 5000万円台
13サイトを15分間隔で自動チェック。新着が出たらLINEに即通知します。
この月次レポートも毎月3日にLINEで届きます。
TL;DR / 今月の要点
- 本サービス集計1,657件の価格中央値は4,270万円、平均は4,684万円。㎡単価中央値は71.7万円/㎡。下位5%ラインは1,420万円、上位5%ラインは9,280万円と、価格の裾は広い。
- 前月比で最も動いたのは構造別「SRC造」(13件→23件、+76.9%の急増)と「RC造」(48件→83件、+72.9%の急増)。ただしこれは収集範囲の変動を含む可能性があり、需給の実変化と即断はしない。
- 築年帯別中央値は1980年以前2,490万円 → 2000〜2009年5,490万円 → 2020年以降8,200万円と、新耐震・品確法・省エネ基準の境界で明確な段差。
- 旧耐震(1980年以前)は14.9%を占め、平均築年1977年帯の下位ゾーンを形成。前月比で構成比は−1.9ポイント。
- 中央値レベルでは前月4,280万円→今月4,270万円とほぼ横ばい(−0.2%)だが、上位ラインが+3.3%上昇し「高値帯が伸び、裾が広がった」構図。
- 掲載終了までの日数中央値は12日。上位・下位の目安ラインを狙う読者ほど、日次監視の重要度が上がる。
今月のトップ3変化(前月比)
前月(2026年5月5日〜6月4日)1,152件と、今月1,657件を並べて眺めると、単なる件数増(+43.8%)以上に、どの層が積み上がったかの偏りがはっきり見える。上位3つを順に見ていく。なお件数の急変は当サービスの収集範囲の変動を含む可能性があり、以下の解釈も市場の需給変化と断定するものではない点は先に断っておく。
構造別「SRC造」: 13件→23件(+76.9%の急増)
構造別で最も伸びたのがSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)で、掲載件数が13件から23件へ+76.9%の増加。中央値も3,498万円から4,690万円へ+34.1%の上昇(前月比)を示した。SRC造の掲載築年中央値は1995年で、新耐震以降のミドルレンジ物件が中心。推測だが、立石・金町周辺の中層マンション(1990年代竣工のSRC造マンションが多い)が売却タイミングを見ている可能性がある。立石駅北口地区第一種市街地再開発事業の東西街区新築工事が2025年11月1日に着工し、竣工は2029年度を予定している(出典: 東京建物プレスリリース / prtimes.jp)ことを踏まえると、資産価値のピーク前に売り抜けたい保有者の動きが混ざっている可能性は否定できない。
構造別「RC造」: 48件→83件(+72.9%の急増)
RC造も同様に大幅増で、48件から83件へ+72.9%の増加。中央値も4,980万円から5,798万円へ+16.4%の上昇(前月比)。RC造の掲載築年中央値は2003年で、2000〜2009年(品確法世代)の主戦力層がここに乗っている。ミドル〜ハイレンジで5,000万円台後半という価格帯が厚みを増したことは、上位ラインが+3.3%押し上がった構図とも整合する。仮説として、金町の商業施設MARK IS 葛飾かなまちの集客効果や再開発期待により、金町・青戸・立石の徒歩10分圏の築20年前後物件で「今なら強気に出せる」判断が広がっているとみることもできる。
駅徒歩帯「16〜20分」: 92件→139件(+51.1%の急増)
第3の注目は「駅徒歩16〜20分」帯で、92件から139件へ+51.1%の増加。中央値も3,530万円から4,098万円へ+16.1%の上昇(前月比)。駅からやや距離のあるゾーンで、これまで動きが薄かった物件が売り出されている構図だ。㎡単価は53.3万円/㎡と駅近帯の71.5万円/㎡から明確に安いが、面積中央値は62.6㎡と広め。推測として、駅遠でも面積が確保できる物件はリノベ前提の実需・投資両サイドから拾われやすく、売主側の弱気設定が薄まっているのかもしれない。
🗞️ 今月のトピック
立石駅北口再開発、着工から半年で「駅前が消えた」 — 立石駅北口地区第一種市街地再開発事業の東西街区新築工事は2025年11月1日に着工し、東西街区に葛飾区役所等を中心とした業務棟(地上14階建て)および住宅・商業施設からなる住宅棟(地上36階建て、総戸数710戸)をそれぞれ整備する。竣工は2029年度を予定している(出典: 東京建物プレスリリース 2025年11月4日 / prtimes.jp)。事業主体は東京建物・旭化成ホームズ・首都圏不燃建築公社。当サービス集計で立石徒歩圏内を含む「駅徒歩11〜15分」帯が506件(前月比+50.1%)と急増しているのは、この着工を挟んで売却タイミングを図る保有者の動きと無関係ではないだろう(推測)。また 2026年地価公示(東京都)で葛飾区の住宅地は+5.6%上昇し、23区で上昇率が最も小さかった (出典: 東京都財務局 令和8年地価公示概要)ことも、周辺相場の「まだ割安感が残る」ムードを裏付ける。
東京都葛飾区 中古マンションの中古市場の輪郭(当サービス集計)
葛飾区の中古マンションと聞くと「新小岩・金町・亀有の3強に、京成沿線の下町」というイメージが浮かぶ人が多いだろう。だが本サービスが集めた1,657件を眺めると、その通念は半分しか合っていない。
集めた1,657件の内訳
集計対象は13サイト。内訳はSUUMO 436件、athome 507件、LIFULL HOMES 293件が三大主力で、この主要3サイトで全体の約74%を占める。ノムコム66件、住友ステップ47件、三井のリハウス43件、ピタットハウス41件、長谷工の仲介38件、東急リバブル37件と大手仲介系が中位を形成し、大京穴吹不動産31件、HOME4U 21件、大和ハウス5件、センチュリー21が92件と続く。1サイトあたりの掲載築年帯・価格帯には差があり、たとえば住友ステップの中央値は7,200万円(築年中央値2016年)と新しめの物件に偏る一方、センチュリー21の中央値は3,490万円(築年中央値1988年)と築古中心。同じエリアでもサイトごとに「見えている中古像」が違うことを、まず押さえておきたい。
価格はどこに集中しているか
分布の中心は明確だ。中央値4,270万円、平均4,684万円。平均が中央値より約400万円高いのは、上位に高額物件の裾が引く分布(歪度2.87)だからで、感覚としては「4,000万円台前半に山があり、そこから上に長く伸びる」形。最小値は590万円、最大値は4億5,000万円。下位5%ラインは1,420万円、上位5%ラインは9,280万円で、その差は約6.5倍——同じ区内で戸建て一棟分の価格差が中古マンションの内側にある、と言い換えてもいい。㎡単価中央値は71.7万円/㎡。500万円刻みのヒストグラムで最も多いのは4,500〜5,000万円帯(165件)、次いで2,500〜3,000万円帯(157件)、2,000〜2,500万円帯(154件)と、「実需の主戦場4,500万円前後」と「築古中心の2,000〜3,000万円台」の二山構造が読める。
掲載開始・掲載終了の動き
期間中の新規掲載は1,297件、掲載終了は799件。週次でみると6月2日週394件→6月9日週276件→6月16日週167件→6月23日週425件、と週ごとに大きく揺れ、季節要因(ボーナス期・夏商戦の助走)とサイト側の掲載更新タイミングの両方が乗っている可能性がある(内部変数の関係で流入数の断定は避ける)。より確度の高い数字として、掲載終了までの日数は中央値12日(第1四分位6日、第3四分位23日)。つまり売り出しから約2週間で半数の物件が掲載画面から消える計算で、好条件物件を人手で追うのは現実的でない速度だ。なお「販売」や「成約」に相当する動きは掲載データから直接は読めないため、あくまで「掲載終了」までの日数として理解する。
築年ごとの相場と「価格の断層」
葛飾区の中古マンションには、はっきりとした築年の断層がある。1980年以前と2020年以降で、中央価格は3.3倍の開き。同じ区内、同じ「マンション」というカテゴリのはずが、まるで違う商品を眺めているような差だ。
築年帯ごとの中央価格
| 築年帯 | 件数 | 中央価格 | 中央面積 | ㎡単価中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 1980年以前(旧耐震) | 247 | 2,490万円 | 48.3㎡ | 52.9万円/㎡ |
| 1981〜1999年(新耐震) | 688 | 3,490万円 | 55.4㎡ | 61.3万円/㎡ |
| 2000〜2009年(品確法) | 315 | 5,490万円 | 70.7㎡ | 77.6万円/㎡ |
| 2010〜2019年 | 274 | 6,980万円 | 67.9㎡ | 109.1万円/㎡ |
| 2020年以降(新省エネ基準) | 129 | 8,200万円 | 70.4㎡ | 121.0万円/㎡ |
新耐震から品確法世代で+2,000万円、品確法から2010年代で+1,490万円、2010年代から2020年代で+1,220万円。㎡単価では旧耐震52.9万円/㎡が2020年以降には121.0万円/㎡へと2.3倍まで開く。
新耐震基準・品確法・長期優良の境界で何が起きているか
年代の境界は制度の境界でもある。1981年6月施行の新耐震基準、2000年4月施行の品確法(住宅の品質確保促進法、10年瑕疵保証の義務化)、2009年6月施行の長期優良住宅認定制度——中央値の階段は、これらの節目に対応する形で刻まれている。特に品確法境界(1999年→2000年)での+2,000万円ジャンプは、単なる築年経過による減価では説明しにくいギャップで、10年瑕疵保証と建物性能表示の有無が価格に織り込まれている構図だ。間取り別に重ねると、2000〜2009年の3LDK中央値は5,605万円、2010〜2019年の3LDKは7,480万円、2020年以降の3LDKは8,290万円と、同じ3LDKでも築年帯を1つずらすだけで1,500〜2,000万円動く。逆に1981〜1999年の3LDKは4,280万円まで下がり、この層が「予算5,000万円台前半で3LDKを狙う実需」の主力ゾーンを形成している。
旧耐震物件の比率と影響
本サービス集計のリスク要素の比率をみると、旧耐震物件(1980年以前)は247件、全体の14.9%を占める。中央価格2,490万円、中央面積48.3㎡、中央築年1977年。ざっくり「1970年代築の2DK前後で2,000万円台」というプロファイルだ。旧耐震物件は住宅ローンで融資期間が短くなりやすく、フラット35の技術基準適合証明が取れないケースもある。地震保険料も新耐震区分に比べ割高。加えて2026年地価公示で葛飾区の住宅地は+5.6%上昇(出典: 東京都財務局)と土地評価が上がっているため、固定資産税・都市計画税の負担も年々じわりと重くなる。前月の構成比16.8%からは−1.9ポイント下がっており、傾向として旧耐震層の相対的な減少(あるいは他年代の増加による希釈)が続いているとみえる。
間取り・構造別の相場
3LDK中央値5,330万円、2DK/2LDK中央値3,780万円。同じ葛飾区の同じ実需向け間取りでも、1つ違うだけで1,550万円動く。この落差の意味を解きほぐしていく。
主要間取りの顔ぶれ
| 間取り | 件数 | 中央価格 | 中央面積 | ㎡単価中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 1K/1DK | 21 | 1,930万円 | 26.5㎡ | 74.7万円/㎡ |
| 1LDK | 85 | 2,850万円 | 46.4㎡ | 61.4万円/㎡ |
| 2DK/2LDK | 260 | 3,780万円 | 55.2㎡ | 67.3万円/㎡ |
| 3LDK | 418 | 5,330万円 | 68.5㎡ | 78.1万円/㎡ |
| 4LDK以上 | 34 | 6,280万円 | 81.0㎡ | 77.5万円/㎡ |
主戦場は3LDK(418件、全体の25.2%)と2DK/2LDK(260件、15.7%)。ファミリー実需の3LDKが最大集団で、平均像は「約68㎡・5,300万円台」。前月比では3LDKが中央値5,498万円→5,330万円と−3.1%の下落、2DK/2LDKが3,498万円→3,780万円と+8.1%の上昇と、主要層の内側で価格が入れ替わっているのが今月の特徴だ。
構造別の相場(RC/SRC/木造)
構造データが得られた110件強でみると、RC造83件で中央値5,798万円、SRC造23件で4,690万円、鉄骨造4件で11,280万円(少数の参考値)。SRC造は柱・梁が鉄骨鉄筋コンクリート造で、1990年代までのタワー型・中高層マンションに多い構造。RC造は現行主流で、2000年代以降のほぼ全ての中低層マンションが該当する。当サービス集計ではRC造の築年中央値2003年、SRC造の築年中央値1995年と世代差が明確で、価格差はほぼ築年差に還元される。鉄骨造の中央値が突出して高いのは、少数の参考値ながら築年中央値2021年と新しく、かつ㎡単価153.4万円/㎡と高額のため。サンプル数の少なさから、鉄骨造の数字は参考程度に見るのが妥当。
タワマン・低層マンションの位置づけ
エリアプロフィールでは葛飾区役所等を中心とした業務棟(地上14階建て)および住宅・商業施設からなる住宅棟(地上36階建て、総戸数710戸)(出典: 東京建物プレスリリース)の立石北口タワマンや、既存のシティタワー金町、プラウドタワー金町など、大規模タワマンの中古が上位価格帯を形成する。集計上位の「新宿」エリア(金町駅圏の一部)は164件で中央値7,980万円、㎡単価114.9万円/㎡と突出して高く、これはシティタワー金町を中心とする大規模タワマンが押し上げた数字と整合する。管理費・修繕積立金は一般に150〜300円/㎡・月が目安で、70㎡なら月2〜3万円台。タワマン系は共用施設が豪華な分、この負担がさらに上振れする傾向にある(一般論、区固有データではない)。
立地軸でみる相場
「駅から遠いほど安い」は葛飾区でも基本的に成り立つが、その減衰カーブは思ったより緩やか。しかも徒歩11〜15分帯の方が徒歩1〜5分帯より中央価格が高い、という一見逆転した現象がある。
駅徒歩帯ごとの価格感
- 1〜5分(461件): 中央値4,130万円、㎡単価71.5万円/㎡、築年中央値1989年
- 6〜10分(507件): 中央値4,380万円、㎡単価73.2万円/㎡、築年中央値1995年
- 11〜15分(506件): 中央値4,880万円、㎡単価75.2万円/㎡、築年中央値2003年
- 16〜20分(139件): 中央値4,098万円、㎡単価53.3万円/㎡、築年中央値1995年
- 21分以上(18件、参考値): 中央値3,400万円、㎡単価54.5万円/㎡
㎡単価で見れば駅近ほど高い(1〜5分71.5万円/㎡ > 16〜20分53.3万円/㎡)という素直な関係が確認できる。だが総額の中央値では徒歩11〜15分帯が最高(4,880万円)。これは徒歩11〜15分帯の築年中央値が2003年と最も新しく、かつ中央面積が65.6㎡と広めであることの合成効果。駅近帯には旧耐震〜新耐震初期のコンパクト物件が多く、駅遠帯には新しい大規模ファミリーマンションが多い、という葛飾区の街並みの構造がそのまま数字に出ている。
町丁/地区での偏り
上位10地区の中央値を並べると、新宿(金町駅圏の一部)7,980万円が突出し、金町5,780万円、亀有4,998万円、東新小岩4,790万円、新小岩4,280万円、東金町3,990万円、青戸3,790万円、堀切3,490万円、白鳥3,490万円、柴又3,999万円、と続く。金町・亀有・新小岩の3強のうち、金町エリアがMARK IS 葛飾かなまちのグランドオープン以降、明確な上位形成を示す構図。青戸は立石駅北口地区第一種市街地再開発事業の隣接エリアで、プラウド青砥(2025年5月販売開始)などの新築価格リセットが中古に波及している可能性がある。柴又や堀切は下町情緒の中央値3,000〜4,000万円帯を維持し、下位のお得ゾーンを形成している。
リスク要素と注意ポイント
葛飾区の中古マンションで見落とせないのは、「築年」と「立地」の二正面リスクだ。特に立地固有のハザードは、価格に十分織り込まれていないケースもある。
当サービス集計のリスク要素の比率
集計1,657件のうち、旧耐震14.9%(247件)、借地権0.2%(3件)、再建築不可0%(0件)、告知事項0%(0件)。旧耐震以外のフラグは事実上ゼロで、区分所有マンションの再建築不可はそもそも構造的に発生しにくいことと整合する。旧耐震物件は融資期間短縮、フラット35の技術基準適合証明取得が難しいケース、地震保険料の割高化——これらのコストを織り込んだ上でも、中央価格2,490万円という価格の魅力があるからこそ247件が流通している。逆に言えば、この価格差は「制度と保険コストの現金化」であり、購入時のキャッシュフロー計算に旧耐震プレミアム分を織り込む必要がある。
立地に固有のリスク(ハザード)
エリアプロフィールが示す通り、葛飾区は荒川・中川・江戸川に囲まれたゼロメートル地帯で、市域全体の約97.9%が浸水想定区域(出典: 葛飾区防災DB / bousaidb.jp)。想定最大浸水深は10.0mに達する。液状化リスクも区全域で高めで、旧耐震・新耐震を問わず杭基礎の有無・地盤改良履歴の確認は必須級。マンション自体の耐震性能に加え、1階部分の電気室・受変電設備の位置(浸水した際の全戸停電リスク)、機械式駐車場の低床部が浸水想定内かも要確認だ。ハザードマップ上の想定浸水深が2m以上か未満かで、住宅ローンの水災担保付き火災保険の保険料は大きく変わる。
規制・条例で抑えるべき点
用途地域は住居系(第一種中高層住居専用、第一種・第二種住居)が過半で、駅前と幹線道路沿いは近隣商業・商業地域。京成押上線の四ツ木駅〜青砥駅間で連続立体交差事業が進行中(出典: 葛飾区都市計画)で、京成沿線の一部物件は工事完了(2030年度末目標)までは踏切通行や騒音の影響が残る。水元・西水元・柴又の一部は江戸川風致地区で建ぺい率40%の制約があり、既存不適格の可能性もある。内見時は、大規模修繕の実施履歴(1回目・2回目実施済みか)、修繕積立金残高、値上げ計画の有無、管理組合の議事録の直近3年分を確認したい。
国交省取引事例で当サービス集計を裏付ける
集計値が実勢とどれだけ整合しているかを、外部の公式データで検算しておく。葛飾区における2025年(令和7年)第1〜第4四半期の土地取引価格は平方メートル単位で43万6533円/m2、坪単価では144万3085円/坪、前年比変動率+5.01%(出典: 土地代データ tochidai.info、国交省 不動産取引価格情報ベース)。一方、エリアプロフィールに整理された直近の実売り出し事例(三井のリハウス公開情報など)でも、金町1丁目の70.71㎡・築2004年・徒歩12分が6,399万円、新小岩2丁目の18.21㎡・築1984年・徒歩3分が1,550万円、西新小岩1丁目の43.71㎡・築1984年・徒歩2分が2,980万円といったレンジで並ぶ。当サービス集計の中央値4,270万円、㎡単価71.7万円/㎡は、これら外部公表値・実売り出し価格と整合しており、集計に大きなバイアスは見られない。取引事例と掲載データという性質の違う二つのデータソースが同じ結論を指すことは、読者の判断材料として重い意味を持つ。
データが示す「お得ゾーン」と「プレミアムゾーン」
安い物件、高い物件。それぞれにどんな顔ぶれが並んでいるかを、下位10%・上位10%の断面で覗いてみる。
下位10%: 1,990万円以下に並ぶ物件
下位10%の境界価格は1,990万円。165件がこの層に該当し、中央築年1988年、中央面積26.5㎡、駅徒歩中央値8分——つまり「1980年代築のコンパクト(1K〜1DK中心)、駅徒歩約8分」という像。旧耐震ぎりぎり上の新耐震初期物件が主体で、単身の実需・投資(ワンルーム賃貸運用)・築古リノベ前提のセカンドハウスなどの需要にはまる。1980年代築の新耐震コンパクトは融資が付く一方、20年程度でリノベ費用200〜400万円が追加で必要になるケースも多い。トータルコストで見た時の「お得さ」を、表層価格だけで判断しないのが鉄則だ。
上位10%: 7,980万円以上に並ぶ物件
上位10%の境界価格は7,980万円。同じく165件で、中央築年2016年、中央面積70.7㎡、駅徒歩中央値7分。「2010年代築のファミリー3LDK、駅徒歩5〜10分」がスタンダード。金町・新宿エリアの大規模タワマン(シティタワー金町、プラウドタワー金町など)と、青戸・立石徒歩10分圏の築浅マンションで固められた層だ。上位5%ライン9,280万円を超える帯では、㎡単価が120万円/㎡を超え、都心区の相場に接近する。前月比では上位10%境界は7,980万円で横ばい(±0万円)ながら、上位5%(p95)は前月8,980万円→今月9,280万円と+3.3%の上昇。「上の裾がさらに伸びた」構図で、立石・金町・青戸の再開発期待が上位層で現金化されているとみることもできる(推測)。
本稿で描いた分布のどこを狙うかが決まったら、次は条件を絞って監視するフェーズ。掲載終了までの日数中央値12日という速度で消えていく個体を見逃さないためには、15分間隔の自動巡回が事実上不可欠だ。人手でSUUMOとathomeを1日3回開くという運用では、平日昼に出た好条件を夜に見つけて「もう問い合わせ済みでした」という結末になりやすい。
よくある質問(当サービス集計での回答)
Q1: 東京都葛飾区 中古マンションの中古相場はいくらですか?
当サービスが13サイトから集めた1,657件では、価格中央値4,270万円、平均4,684万円、㎡単価中央値71.7万円/㎡。下位5%ラインは1,420万円、上位5%ラインは9,280万円で、価格帯は非常に幅広い。3LDK中央値は5,330万円、2DK/2LDK中央値は3,780万円。
Q2: 東京都葛飾区 中古マンションの買い時はいつですか?
本集計では前月比で中央値が4,280万円→4,270万円(−0.2%)とほぼ横ばい。ただし上位5%が+3.3%の上昇、下位5%が−15.5%の下落と裾が両側に伸びている。推測を含めて言えば、立石・金町・青戸の再開発が本格化する2029〜2030年に向けて上位帯は上振れ余地があり、下位帯は選別が進む局面。「買い時」を一言で断じるより、狙いの築年帯・エリアを固めて条件監視に入るのが実践的だろう。
Q3: 旧耐震の物件はどれくらい流通していますか?
当サービス集計では旧耐震(1980年以前築)は247件、全体の14.9%。前月の16.8%から−1.9ポイント下がった。中央価格は2,490万円、中央面積48.3㎡、㎡単価52.9万円/㎡と、明確な下位ゾーンを形成する。融資期間短縮・地震保険料アップ・耐震改修費用のリスクを織り込んだうえで、それでも価格メリットが上回るかの判断が必要。
Q4: 東京都葛飾区 中古マンションで㎡単価が高いのはどんな条件ですか?
本集計で㎡単価が最も高いのは2020年以降築(121.0万円/㎡)、次いで2010〜2019年築(109.1万円/㎡)。地区別では新宿(金町駅圏の一部、シティタワー金町中心)が114.9万円/㎡で突出。構造別ではRC造86.0万円/㎡が主流で、駅徒歩1〜5分帯71.5万円/㎡ > 16〜20分帯53.3万円/㎡と、駅近・築浅・大規模タワマン系が上位を形成する。
Q5: 駅徒歩の差で価格はどれくらい変わりますか?
当サービス集計の駅徒歩帯別の㎡単価中央値は、1〜5分71.5万円/㎡、6〜10分73.2万円/㎡、11〜15分75.2万円/㎡、16〜20分53.3万円/㎡、21分以上54.5万円/㎡。徒歩15分までは緩やかな上昇、16分から明確な段差という構造。総額中央値では駅徒歩11〜15分帯が最高(4,880万円)だが、これは築年・面積の合成効果であり、同一条件で比較すれば駅近ほど高い。
Q6: 立石駅北口再開発の影響は、集計データにどう現れていますか?
立石駅北口地区第一種市街地再開発事業は東西街区新築工事が2025年11月1日に着工し、竣工は2029年度を予定(出典: 東京建物プレスリリース)。当サービス集計では、立石徒歩圏を含む「駅徒歩11〜15分」帯が506件(前月比+50.1%)、SRC造・RC造の掲載件数が+70%超で急増しており、推測として再開発着工を契機とした売却タイミング調整の動きが構成に現れているとみることもできる。ただし件数変動は本サービスの収集範囲の変動を含む可能性があり、需給の変化と即断はできない。
Q7: 狙いの条件で東京都葛飾区 中古マンションの新着を毎日追うには?
当サービス(物件ウォッチ)は、athome、センチュリー21、大京穴吹不動産、大和ハウス、長谷工の仲介、HOME4U、LIFULL HOMES、東急リバブル、ノムコム、ピタットハウス、三井のリハウス、住友ステップ、SUUMOなどの13サイトを15分間隔で自動巡回し、条件に合致する新着物件をLINEに即時通知する。「築20年以内 × 3LDK × 駅徒歩10分以内」のような複合条件も設定可能で、無料プランなら24時間遅延版で試せる。本稿で見た掲載終了まで中央値12日という流通速度を考えると、自動追跡は事実上必須のインフラといえる。
2026年7月のハイライトと注意点
今月のハイライトは、「構造別SRC造+76.9%、RC造+72.9%の急増」という掲載構成の入れ替わり。前月比で中央価格は−0.2%とほぼ横ばいだが、上位5%が+3.3%、下位5%が−15.5%と両端が伸び、分布はより「二極化」した。立石駅北口再開発の着工(2025年11月)と地価公示発表(2026年3月、住宅地+5.6%)を挟んで、売却タイミングを図る保有者と、下位帯で妥協した売り出しの両方が積み上がっている構図に見える。
注意点として、掲載件数の急変(+43.8%)は当サービスの収集範囲の変動を含む可能性があり、市場需給の変化と即断はできない。表示価格は売出時点の価格で成約価格ではない点、同じ物件が複数サイトに掲載されている場合はそれぞれ1件として数えている点も踏まえて数字を読みたい。継続観測で見えてくるのは、立石・金町・青戸の3エリアの「再開発プレミアム現金化」がどこまで進むか、そして旧耐震層の構成比がさらに縮小するかどうか、の2点だ。
本レポートは物件ウォッチが13サイト(athome, センチュリー21, 大京穴吹不動産, 大和ハウス, 長谷工の仲介, HOME4U, LIFULL HOMES, 東急リバブル, ノムコム, ピタットハウス, 三井のリハウス, 住友ステップ, SUUMO)から自動収集した1,657件の掲載データに基づく集計です。日本の不動産市場全体の動向を示すものではありません。分析対象期間は2026年6月2日〜2026年7月2日。次回更新は月1回、2026年8月上旬を予定しています。
1,657件超の東京都葛飾区 中古マンションから条件に合う1件を
特に 新耐震RC造 駅徒歩5分以内, 立石徒歩10分圏 築古リノベ, 金町・青戸 3LDK 5000万円台 は早く動きます。13サイトの新着を15分間隔でチェックして、LINEで即通知。
この月次レポートも毎月3日にLINEで届きます。
他のレポート
過去の東京都葛飾区 中古マンションに関する記事
- 2026年7月3日 東京都葛飾区 中古マンションの月次相場レポート (この記事)
- 2026年6月 東京都葛飾区 中古マンションの月次相場レポート
※ この記事のデータは物件ウォッチがathome・センチュリー21・大京穴吹不動産・大和ハウス・長谷工の仲介・HOME4U・LIFULL HOMES・東急リバブルなど13サイトを横断して収集した2026年7月3日時点の情報です。実際の価格・在庫は各サイトにてご確認ください。現在掲載中の注目物件20件は 東京都葛飾区 中古マンションの注目物件一覧 から確認できます。